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好奇心で紡ぐエンタメ体験記

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』——渋谷が舞台の大規模アクション

🎬 基本情報(作品データ)

  • タイトル:名探偵コナン ハロウィンの花嫁
  • 英題:Detective Conan: The Bride of Halloween
  • 公開日:2022年4月15日(日本) 
  • 上映時間:111分 
  • 製作国:日本
  • ジャンル:アニメーション/アクション/サスペンス・ミステリー 
  • 興行収入:97.8億円(シリーズ歴代4位)

🎥 スタッフ

  • 監督:満仲勧(『ハイキュー!!』シリーズ)
  • 脚本:大倉崇裕 
  • 原作:青山剛昌(『名探偵コナン』)
  • 音楽:菅野祐悟(本作より劇場版の音楽担当が交代)
  • 制作会社:トムス・エンタテインメント 
  • 配給:東宝

🎙 主なキャスト(声の出演)

  • 江戸川コナン:高山みなみ
  • 毛利蘭:山崎和佳奈
  • 毛利小五郎:小山力也
  • 降谷零(安室透):古谷徹
  • 高木渉:高木渉
  • 佐藤美和子:湯屋敦子
  • 松田陣平:神奈延年
  • 萩原研二:三木眞一郎
  • 伊達航:東地宏樹
  • 諸伏景光:緑川光
  • エレニカ・ラブレンチエワ:白石麻衣(ゲスト声優)

※本画像は映画『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』の公式ポスタービジュアルより引用。
著作権は © 青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS に帰属。


📝からくち短評

3年前の連続爆破事件の犯人が脱獄。公安警察の降谷零(安室透)は因縁の相手を追うが、謎の仮装人物に首輪型爆弾を装着されてしまう。
コナンは事件解決のため降谷と合流し、正体不明の爆弾犯「プラーミャ」の謎に迫っていく。

物語は、佐藤刑事と高木刑事の結婚式という、シリーズでも異例の幸福な幕開けから始まる。ウェディングドレス姿の佐藤刑事がバージンロードを歩くシーンは、「本当に結婚するのか?」という観客の期待を最大限に煽る演出。
しかし、暴漢が乱入し高木刑事が負傷。この瞬間、佐藤の脳裏に“3年前の爆破事件で殉職した松田刑事”の姿が重なる。ここで佐藤の視界が一瞬白飛びし、松田の死のフラッシュバックが挿入される演出は、「幸せの瞬間に忍び寄る死神」という本作のテーマを象徴している。

一方、3年前の事件の因縁を引きずる降谷は、渋谷で再び“プラーミャ”の影を追う。追跡の末、「犯人に近い」と思われる人物と接触するも、その場が“罠”だった。ビルから落下寸前の仲間を救う一瞬の隙を突かれて首輪爆弾を装着される。
ここで重要なのは、 「降谷が冷静さを欠いたから」ではなく、「仲間を優先した結果として罠にハマった」という描かれ方になっていること。
かつて同期の仲間を救えなかった降谷が、今度こそ仲間を助けたいという感情が、逆に彼を縛ることに。その隙に首輪をつけられた降谷は、「自由に動けるはずの公安の切り札」から一転、 “誰かに助けられる側”に落とされる
ここでコナンが介入してくる構図がうまくて、コナンという“バディ”に救われる降谷という、救済のドラマが生まれている。

本作最大の見せ場は、渋谷スクランブル交差点を舞台にした大規模アクション。このクライマックスは、 「渋谷という現実の街を、映画的な非現実へと変換する」というコンセプトで構築されている。
渋谷の通り沿いに無数の液体爆弾パックが配置され、そこから液体が道路沿いに流れ出している。その液体が低い位置にあるスクランブル交差点に到達して混ざり合うと大爆発するという、驚愕の「時限爆弾」が仕掛けられていた。

どうすれば、渋谷の街の大爆発は防げるのか?また、首輪爆弾を装着されている降谷の反撃方法とは?

『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』のクライマックスは、 現実の渋谷を忠実に再現しつつ、 「現実では絶対に起こりえない光景」を成立させるための演出の積み重ねでできている。結果として、 劇場版コナンの中でも最も“都市アクション映画”として完成度が高いシーンになっていると思う。

★★★☆☆